洞窟に足を踏み入れた瞬間、明らかに異質な空気を感じると同時に
再びあの感覚・・・全身が脈動し、意識が飲み込まれていくような感覚に襲われます。
昼間だというにもかかわらず、私もリディアちゃんもウェアウルフへと変わってしまいました。
病気の進行によるものなのか、それともこの洞窟の不思議な力かは分かりません。
しかし空には、まるで血を塗りたくったかのような血みどろの月が浮かんでいました。
その月を目に入れると同時にウェアウルフの体はより一層興奮をまして
獲物の血肉を渇望します。
理性を失い、血の月によってより凶暴性を増した私たちは
本来は協力するはずだったであろう、入り口にいたハンターに襲い掛かると
食い散らかしてしまいました。
腕を振るうだけでハンターたちがまるでゴミクズのように吹き飛んでいきます。
ハンターたちは、襲い掛かる私たちを見て裏切られたと口にします。
きっとハーシーンから、私たちが援軍としてくることを知らされていたのかもしれません。
しかし今や私たちは理性を失ったただのウェアウルフ。
そんなことはお構いなしに彼らへと襲い掛かります。
途中ではシンディングさんとも合流し、3人で派手にハンティングを行います。
三匹から浴びせられる爪撃にハンターたちはなすすべもありません。
こうして私たちはハンターたちを皆殺しにしてお腹へと収めました。
戦いは数時間にもおよび、いつの間にか時刻は朝の7時過ぎ。
あの血みどろの月も引っ込み、ようやく元の体へと戻る事ができるようです。
シンディングさんは私達の行動、そして変貌振りに驚いている様子でしたが
どこか納得しているかのような表情も浮かべていました。
私たちは事情を説明すると、やはり彼を見逃すことを決意します。
シンディングさんは二度と人間社会には足を踏み入れないことを約束し、
この森で暮らすことにするようです。
私たちはというと・・・この裏切りの説明をハーシーンへとしなければなりません。
最悪、激昂したハーシーンに完全にウェアウルフへと変えられてしまう事も十分考えられます。
私たちは高まる不安を胸にシンディングさんと別れて洞窟を後にするのでした。
そして、その時は訪れます。
洞窟を出るや否や、霊体となって私達の前に姿を現すハーシーン。
私たちはとっさに身構えますが、彼の告げた言葉は意外なものでした。
彼は私達がハンターを逆にハンティングし返したことを賞賛している様子でした。
上機嫌な彼は私がはめている指輪の呪いを解くと、
より一層ハンティングに精を出すようにと告げて立ち去ろうとします。
結局指輪にもウェアウルフに感染した人間を元の体に戻すなどという力は備わってはいないことが分かり
私達の焦りはより一層強くなりました。
すかさず私達は彼を止めると、ついに恐る恐るあの願いを口に出します。
「あの・・・私達・・・。」
「ん?どうした?」
「あの・・・私達・・・ウェアウルフに向いていないというか・・・。ハンティングとかあまり得意ではないというか・・・。
その・・・元の体に戻りたいというか・・・」
ハーシーンの機嫌を伺いながら私はちょっとづつ気持ちを伝えようとします。
しかし彼から返ってきた言葉は無慈悲というより他なりませんでした。
「・・・。お前たちが獣になりきれていないのは良く知っている。
しかし案ずることはない。すべては時間が解決してくれよう。
もし今後ハンティングに興味がわくようであれば同胞団を尋ねるといい。」
彼はそう告げると私達の制止を無視し、そのまま消えてしまいます。
残された私たちは立ち尽くす他ありませんでした。
症状が進行するにつれてだんだんとウェアウルフに変わる時間が長くなっていくこの病気・・・。
時間が解決するというのは、症状が完全に進みきって私たちが
完全にウェアウルフへと変わってしまうということを意味します。
当然そこに私達の自我などなく、血肉へと渇望と凄まじいまでの性欲に押しつぶされた私たちは
化け物そのものへと変わってしまうのは間違いありません。
すでに病気の進行はかなり進み、現在は月の満ち欠けにかかわらず
夕方から朝にかけてウェアウルフへと変わってしまっています。
そういう状態での今回の出来事はいわば最後の希望でもあったのに・・・。
私たちは彼の最後に残した言葉「同胞団」が活動をしているというホワイトランのジョルバスクルへと
指針を定めます。もう間に合わないかもしれないし、無駄足かもしれませんが
私たちは悔いを残さず終わりを迎えたい・・・。
再び砦から来た道を戻ってホワイトランへと向かいます。
ホワイトランの入り口に差し掛かったとき、私はある不安を胸にしました。
ハーシーンの言っていた同胞団・・・。
当然そのメンバーの中にはウェアウルフも混じっていると見て間違いはないでしょう。
おそらく歴史の長いグループに所属している彼らは伝統や儀式を重んじるはず・・・。
要するに感染でウェアウルフ化した私たちは
相手にすらされないのではないか、という不安です。
私達は念のため川へと入り、体を石鹸で洗い流しました。
彼らの正体が知れるまでは、決して尻尾を出さないようにしなければなりません。
準備を終えてジョルバスクルへと向かいます。
通り過ぎるときにいつも目にはしていましたが、実際に入ったことは一度もありません。
さらに不安になるような事をいわれる私達。
心を決めて建物の中へと入り込みます。
私たちは地下一階にいる同胞団の偉い人のところまで向かいます。
彼らは私たちに気がつくと会話を中断しましたが、その「血が呼ぶ」という内容には
ちょっと興味を惹かれました。
コドラクさんに同胞団へ入りたいという旨を告げてヴィルカスさんにテストをされることになります。
一通りの身体テストが終わると、私たちは無事に同胞団へと入る事ができました。
しかししばらくはつかいっぱしりだそうで、早速剣を届けるように言われてしまいます。
剣のお届け先の爺さんにはいわれたことだけをやるのはやめろといわれてしまう始末・・・。
ヴィルカスさんといってる事がぜんぜん違います。
しかしその割には今度はアエラさんへ盾を届けてくるように私へといいます。
さすがにさっきといってることが違うと反抗しましたが、
よくわからない言い回しで濁されてしまいました。
この人たちはいつもこんな感じのノリなのでしょうか。
アエラさんに盾を渡すとファルカスさんに寝床を案内してもらえることになりました。
しかしこの団はヴィルカスだのファルカスだの似たような名前の人がいるなぁ・・・
そう思っていたらそれも当然、彼らは双子だそうです。
そんな驚きを胸に、わたしは寝床を紹介してもらうと早速仕事を引き受けることになりました。
内容はこぶしでその男を従わせるというなんとも乱暴なお仕事です。
すぐに向かおうかとも思いましたが時刻はもう5時半・・・。
あと少しで変身が始まってしまうので今日は睡眠をとって明日向かうことにします。
ウェアウルフへの変身も、どうやら寝ていたり、寝ぼけている間には無効のようで
時間を気にして睡眠をとるようにすれば何とか今は抑える事ができるようでした。
ファイッ!
拳で熱く語り合います。
殴り合いの途中ではストームクロークの衛兵も通り過ぎましたが
別に止められるようなことはありませんでした。
スカイリムでは殴り合いでの解決も別段珍しいことではないようです。
彼に膝をつかせて戦いは決着!
今後はおとなしくしてくれるようです。
しかしこの人、ベレソアさんの雑貨店で働いている人だよなぁ・・・。
そんなに悪い人だったのかしら・・・。
ファルカスさんへ任務の完了を報告すると
今度はわたし達をスコールという人が探しているという情報が入ります。
早速会いに行って話を聞いてみると、
イスグラモルというかつての同胞団指導者が使っていたという斧「ウースラド」の欠片が
見つかったかもしれないとの話でした。同胞団の威信にかけて手に入れる必要があるそうです。
彼はファルカスさんに同行するように言い、私たちは素直にそれに従うことにしました。
入ったばかりの今はまだ下積みの期間・・・。とりあえずは実力を行動で示す必要があるからです。
変に探ろうとしたり、聞き出そうとするのはこの人たち相手には
逆効果だということを私たちは薄々感じ取っていました。
間に合うのだろうか・・・そんな不安を胸に指針を定めたところで今日はおしまい。
次回はファルカスさんとともにお墓の探索を行います。